2026年8月18日

はじめに
突然、背中やわき腹に強い痛みが走り、じっとしていられないほどつらい。
尿を見ると赤い、茶色っぽい、あるいは健診で血尿を指摘された。
このような症状がある場合、原因の一つとして尿路結石が考えられます。
尿路結石は、腎臓・尿管・膀胱・尿道といった尿の通り道に石ができる病気です。特に、腎臓でできた石が尿管に落ちて詰まると、突然の強い痛みを起こすことがあります。
痛みが一時的におさまることもありますが、石が残っていたり、尿の流れが悪くなっていたりする場合があります。また、発熱を伴う場合には緊急性が高くなることもあります。
この記事では、尿路結石が疑われる症状、受診の目安、検査、治療、再発予防についてわかりやすく解説します。
尿路結石とは?
尿路結石とは、尿に含まれる成分が結晶化し、石のように固まったものです。石ができる場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと呼ばれます。
特に症状が出やすいのは、腎臓でできた結石が尿管に移動し、尿の流れを妨げたときです。尿管は腎臓から膀胱へ尿を運ぶ細い管であり、ここに石が詰まると、腎臓側に尿がたまり、急激な痛みを引き起こします。
尿路結石は、強い痛みで気づくこともあれば、健診や画像検査で偶然見つかることもあります。
尿路結石でよくみられる症状
突然の背中・わき腹の強い痛み
尿路結石で典型的なのは、背中からわき腹にかけて突然起こる強い痛みです。痛みは片側に出ることが多く、腰、下腹部、足の付け根、陰部の方へ広がることもあります。
痛みの程度は強く、「じっとしていられない」「冷や汗が出る」「救急車を呼ぶほど痛い」と表現されることもあります。
一方で、痛みが強いから必ず重症、痛みが軽いから大丈夫、とは限りません。石の位置や尿の詰まり具合、感染の有無によって症状は変わります。
血尿
尿路結石では、石が尿管や腎盂などの粘膜を刺激することで血尿が出ることがあります。
血尿には、目で見て赤い尿がわかる肉眼的血尿と、尿検査ではじめてわかる顕微鏡的血尿があります。
ただし、血尿の原因は尿路結石だけではありません。膀胱炎、腎臓の病気、腎がん・膀胱がん・尿管がんなどの悪性腫瘍が隠れていることもあります。特に、痛みのない血尿を繰り返す場合は、自己判断せず泌尿器科での確認が大切です。
吐き気・嘔吐
尿路結石の痛みが強いと、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。水分をとれないほど吐いてしまう場合は、脱水になったり、内服薬での痛み止めが効きにくくなったりするため、早めの受診が必要です。
頻尿・残尿感・排尿時の違和感
石が膀胱に近い下部尿管まで下がってくると、膀胱炎のように、トイレが近い、残尿感がある、排尿時に違和感がある、といった症状が出ることがあります。
「膀胱炎だと思っていたら尿管結石だった」ということもあります。
すぐに受診した方がよい症状
尿路結石が疑われる場合でも、すべてが緊急というわけではありません。
しかし、次のような症状がある場合は、早めの受診、場合によっては救急受診が必要です。
- 38℃前後の発熱、寒気、震えがある
- 背中やわき腹の痛みが非常に強い
- 痛み止めを使っても痛みが続く
- 吐き気・嘔吐が強く、水分がとれない
- 尿がほとんど出ない、まったく出ない
- 血尿がはっきり出ている
- 腎臓が1つしかないと言われている
- 妊娠中である
- 高齢者、糖尿病、免疫が低下している状態である
特に注意が必要なのは、尿路結石に感染を合併している場合です。石によって尿の流れが悪くなった状態で細菌感染が起こると、腎盂腎炎や敗血症につながることがあります。発熱や悪寒を伴う場合は、単なる痛みの問題ではなく、緊急対応が必要になることがあります。
尿路結石の原因・なりやすい人
尿路結石は、尿の中のカルシウム、シュウ酸、尿酸などの成分が結晶化してできることがあります。原因は一つではなく、体質、食生活、水分摂取量、生活習慣病などが関係します。
尿路結石のリスクとしては、次のようなものがあります。
- 水分摂取が少ない
- 汗をかきやすい、脱水になりやすい
- 塩分を多くとる
- 動物性たんぱく質を多くとる
- 肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症がある
- 尿酸値が高い
- 尿路結石を繰り返したことがある
- 家族に尿路結石の人がいる
- 尿路感染を繰り返している
- 一部の薬剤や病気が関係している
「カルシウムを控えればよい」と考える方もいますが、自己判断で極端な食事制限をするのはおすすめできません。結石の種類や体質によって、注意すべき内容は異なります。
尿路結石が疑われるときの検査
尿路結石が疑われる場合、症状だけで判断するのではなく、尿検査や画像検査などを組み合わせて確認します。
尿検査
血尿の有無、感染を疑う白血球や細菌の有無などを確認します。肉眼では普通の尿に見えても、尿検査で血尿がわかることがあります。
血液検査
炎症の程度、腎機能、尿酸値、カルシウム値などを確認することがあります。発熱がある場合や、腎機能への影響が心配される場合には重要です。
超音波検査
腎臓が腫れていないか、水腎症がないか、腎臓や膀胱に結石が見えないかを確認します。被ばくがなく、体への負担が少ない検査です。
レントゲン検査
石の種類によってはレントゲンに写ることがあります。経過観察や治療方針の判断に使われることがあります。
CT検査
尿路結石の診断では、CT検査が有用です。石の位置、大きさ、数、尿管の詰まり具合、他の病気の可能性などを確認できます。
ただし、すべての方に最初からCTが必要とは限りません。症状、年齢、妊娠の可能性、腎機能、発熱の有無などを踏まえて、必要な検査を判断します。
尿路結石の治療
尿路結石の治療は、石の大きさ、位置、痛みの程度、発熱の有無、腎機能への影響などによって変わります。
痛みを抑える治療
まず大切なのは、強い痛みを抑えることです。痛み止めの内服、坐薬、点滴などを使用することがあります。
「水をたくさん飲めば石が出る」と考えて、痛みが強い最中に無理に大量の水を飲む方もいますが、吐き気が強いときや尿の流れが悪いときにはかえってつらくなることがあります。痛みが強い場合は、まず医療機関で状態を確認することが大切です。
自然排石を待つ治療
小さな尿管結石で、発熱や腎機能低下などの問題がなく、痛みがコントロールできる場合は、自然に石が出るのを待つことがあります。
この場合も、ただ放置するのではなく、痛みの変化、発熱の有無、石が出たかどうか、腎臓が腫れていないかなどを確認しながら経過をみます。
排石を助ける薬
石の位置や大きさによっては、尿管を広げる作用のある薬などを使い、石が出やすくなるようにすることがあります。すべての結石に有効というわけではないため、状態に応じて判断します。
石を砕く・取り除く治療
自然に出る可能性が低い場合、痛みを繰り返す場合、感染を伴う場合、腎機能に影響がある場合などは、積極的な治療が必要になることがあります。
代表的な治療には、次のようなものがあります。
- 体外衝撃波結石破砕術:体の外から衝撃波を当てて石を砕く治療
- 経尿道的尿管砕石術:尿道から内視鏡を入れて、尿管内の石を砕いたり取り除いたりする治療
- 経皮的腎砕石術:背中から腎臓に通り道を作り、大きな腎結石を取り除く治療
どの治療が適しているかは、石の大きさ、位置、硬さ、尿路の状態、全身状態によって異なります。
痛みが治まったら受診しなくてもよい?
尿路結石の痛みは、自然に一度おさまることがあります。
しかし、痛みが消えたからといって、必ず石が出たとは限りません。
石が尿管に残っていても、痛みが一時的に落ち着くことがあります。また、尿の流れが悪い状態が続くと、腎臓に負担がかかることがあります。
次のような場合は、痛みが落ち着いていても確認をおすすめします。
- 血尿が続く
- 痛みを繰り返す
- 石が出たかわからない
- 健診で血尿を指摘された
- 過去に尿路結石を繰り返している
- 腎機能低下を指摘されたことがある
- 発熱や尿の濁りがあった
尿路結石と間違えやすい病気
背中やわき腹の痛み、血尿がある場合、尿路結石以外の病気も考える必要があります。
たとえば、次のような病気です。
- 腎盂腎炎
- 膀胱炎
- 腎梗塞
- 腎がん
- 膀胱がん
- 尿管がん
- 大動脈瘤、大動脈解離
- 胆石、胆のう炎
- 虫垂炎
- 腰椎疾患、筋肉や神経の痛み
- 婦人科疾患
特に、血尿がある場合は「結石だろう」と決めつけないことが大切です。尿路結石と悪性腫瘍は症状が重なることがあり、泌尿器科での評価が重要です。
尿路結石の再発予防
尿路結石は再発することがあります。石が出たあとも、生活習慣を見直すことが大切です。
水分をしっかりとる
尿が濃くなると結石ができやすくなります。日中にこまめに水分をとり、尿量を保つことが大切です。特に、暑い時期、運動後、汗をかきやすい仕事の方は注意が必要です。
塩分を控える
塩分のとりすぎは、尿中カルシウムの排泄を増やし、結石形成に関係することがあります。外食、加工食品、汁物、漬物、麺類のスープなどは塩分が多くなりやすいため注意しましょう。
極端な食事制限をしない
結石予防のために、自己判断でカルシウムを極端に控える必要はありません。食事内容は、結石の種類や検査結果に応じて調整することが大切です。
生活習慣病を管理する
糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、高尿酸血症などは尿路結石と関連することがあります。結石の再発予防という意味でも、生活習慣病の管理は重要です。
繰り返す場合は原因を調べる
尿路結石を繰り返す方、若い年齢で発症した方、両側に石がある方、腎機能に影響がある方などは、再発予防のための詳しい検査を検討することがあります。
よくある質問
尿路結石は何科を受診すればよいですか?
尿路結石が疑われる場合は、泌尿器科の受診が適しています。突然の強い痛み、血尿、発熱、尿が出にくいなどの症状がある場合は、早めに相談しましょう。
尿路結石は自然に出ますか?
小さな結石であれば自然に排出されることがあります。ただし、石の大きさや位置によって自然に出る可能性は異なります。発熱、強い痛み、腎機能低下、尿の流れの障害がある場合は、自然排石を待たずに治療が必要になることがあります。
石が出たらもう大丈夫ですか?
石が出たと思っても、他に石が残っている場合や、血尿の原因が別にある場合があります。可能であれば出た石を持参し、医療機関で確認するとよいでしょう。
血尿だけで痛みがありません。尿路結石でしょうか?
痛みのない血尿でも、尿路結石のことはあります。ただし、膀胱がん、腎がん、尿管がんなどが隠れていることもあります。痛みがないから大丈夫と考えず、泌尿器科で原因を確認することが大切です。
市販の痛み止めで様子を見てもよいですか?
軽い痛みで短時間で改善する場合もありますが、強い痛み、発熱、吐き気、血尿、尿が出にくいなどがある場合は自己判断で様子を見すぎないようにしましょう。腎機能が悪い方、胃潰瘍の既往がある方、抗血栓薬を飲んでいる方などは、痛み止めの使用にも注意が必要です。
まとめ
突然の背中・わき腹の痛み、血尿、吐き気がある場合、尿路結石の可能性があります。尿路結石は自然に出ることもありますが、感染を伴う場合や、尿の流れが悪くなっている場合には緊急性が高くなることがあります。
特に、発熱、寒気、強い痛み、嘔吐、尿が出ない、血尿が続く場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。
また、痛みが治まっても石が残っていることがあります。再発予防や他の病気の見落としを防ぐためにも、症状がある方、健診で血尿を指摘された方は、自己判断せず相談することが大切です。
知立市・刈谷市・安城市周辺で、突然の背中やわき腹の痛み、血尿、尿路結石が心配な方は、お近くの泌尿器科でご相談ください。