2026年9月16日

「最近、少し歩くだけで息が切れる」
「急に心臓がドキドキすることがある」
「階段を上ると以前より息苦しい」
「動悸と息切れが一緒に起こる」
このような症状があると、「心臓の病気ではないか」と心配になる方もいるのではないでしょうか。
動悸や息切れの原因は、心臓の病気だけではありません。
不整脈や心不全のほか、貧血、甲状腺疾患、気管支喘息・COPDなどの呼吸器疾患、発熱や脱水、ストレス、薬剤など、さまざまな原因で起こります。
一時的な症状で問題のないこともありますが、繰り返す動悸や、以前より軽い運動で起こるようになった息切れは、一度原因を確認した方がよい症状です。
また、強い胸痛、突然の呼吸困難、失神などを伴う場合には、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。
この記事では、動悸・息切れが起こる主な原因、症状から考えるポイント、医療機関で行う検査、受診の目安について解説します。
動悸・息切れがあるときに考えられる主な原因
動悸と息切れは、心臓、肺、血液、甲状腺などさまざまな臓器の異常によって起こります。
主な原因として、次のようなものがあります。
| 症状・特徴 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 急に心臓が速くドキドキする | 不整脈など |
| 脈が飛ぶ、一瞬ドキッとする | 期外収縮など |
| 動くと息切れする、足がむくむ | 心不全など |
| 息切れに加えて疲れやすい、立ちくらみがある | 貧血など |
| 動悸、発汗、手の震え、体重減少がある | 甲状腺機能亢進症など |
| 咳、ゼーゼー・ヒューヒューを伴う | 気管支喘息など |
| 喫煙歴があり、咳・痰・労作時の息切れがある | COPDなど |
| 発熱、下痢、食事・水分摂取低下などがある | 発熱・脱水など |
| 緊張や不安とともに起こる | ストレス、自律神経の影響など |
症状だけで病気を確定することはできません。いくつかの原因が重なっている場合もあるため、繰り返す場合には診察や検査によって確認することが大切です。
動悸とは?
動悸とは、普段は意識しない自分の心臓の拍動を強く感じることです。
「動悸」といっても感じ方はさまざまで、
- 心臓がドキドキする
- 胸がバクバクする
- 脈が速く感じる
- 脈が飛ぶ感じがする
- 一瞬心臓が止まったように感じる
- 胸の中で「ドン」と強く打つ
などと表現されます。
動悸があるからといって、必ず不整脈があるわけではありません。
運動、緊張、発熱、睡眠不足などによって正常な心拍が速くなった場合にも、動悸を感じることがあります。
一方で、心房細動や発作性上室性頻拍などの不整脈によって起こっていることもあります。
息切れとは?
息切れは、
「息が苦しい」
「呼吸がしづらい」
「息が上がる」
「空気が十分に入ってこない感じがする」
などと感じる症状です。
激しい運動をすれば誰でも息切れしますが、重要なのは以前との比較です。
例えば、
- 以前は平気だった階段で息切れする
- 歩く速度が遅くなった
- 坂道の途中で休むようになった
- 家事だけでも息が上がる
- 同年代の人について歩けなくなった
原因1|不整脈
動悸の原因として代表的なのが不整脈です。
不整脈とは、心臓の拍動が速くなったり、遅くなったり、不規則になったりする状態です。
代表的なものとして、
- 期外収縮
- 心房細動
- 発作性上室性頻拍
- 徐脈性不整脈
などがあります。
脈が飛ぶ、一瞬ドキッとする
「脈が一回飛ぶ」
「胸が一瞬ドキッとする」
といった症状では、期外収縮がみられることがあります。
期外収縮は健康な方にもみられることがあり、必ずしも治療が必要とは限りません。
急に心臓が速くなる
「突然スイッチが入ったように心臓が速くなる」
「しばらくドキドキして、突然元に戻る」
という場合には、発作性の不整脈を考える手がかりになります。
脈が不規則になる
心房細動では、
- 動悸
- 脈の乱れ
- 息切れ
- 胸苦しさ
- めまい
- 疲れやすさ
などがみられることがあります。
自覚症状がほとんどない場合もあります。
原因2|心不全・心臓弁膜症などの心臓病
心臓の働きが低下する心不全でも、息切れや動悸が起こります。
特に、
- 歩くと息切れする
- 坂道や階段がつらい
- 横になると息苦しい
- 夜中に息苦しくて目が覚める
- 足がむくむ
- 短期間で体重が増えてきた
などがみられる場合には注意が必要です。
心不全は一つの病名ではなく、心筋梗塞、心臓弁膜症、高血圧、不整脈など、さまざまな原因によって心臓のポンプ機能に問題が生じた状態です。
高血圧、糖尿病、腎臓病などがある方や、以前から心臓病を指摘されている方は、息切れを単なる年齢や運動不足のためと考えずに相談しましょう。
原因3|貧血
動悸と息切れの両方を起こす代表的な原因の一つが貧血です。
血液中のヘモグロビンは、肺から取り込んだ酸素を全身へ運ぶ働きをしています。
貧血になると十分な酸素を運びにくくなるため、身体はそれを補おうとして心拍数を増やします。
そのため、
- 動悸
- 息切れ
- 疲れやすい
- だるい
- めまい
- 立ちくらみ
- 顔色が悪い
などの症状が起こることがあります。
特に月経のある女性では、鉄欠乏性貧血がみられることがあります。
一方、男性や閉経後の女性に鉄欠乏性貧血がみられる場合には、消化管出血など貧血を起こした原因を確認することも重要です。
「動悸があるから心臓」とは限らないという点は覚えておきましょう。
原因4|甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症でも、動悸や頻脈が起こります。
代表的な病気としてバセドウ病があります。
動悸のほかに、
- 脈が速い
- 汗をかきやすくなった
- 暑がりになった
- 手が震える
- 食欲があるのに体重が減る
- 疲れやすい
- 落ち着かない
などがみられる場合には、甲状腺機能の異常も考える必要があります。
甲状腺機能は血液検査で調べることができます。
原因5|気管支喘息
気管支喘息でも息切れや息苦しさが起こります。
特徴として、
- 咳を繰り返す
- 息をするとゼーゼー・ヒューヒューする
- 胸が締め付けられる感じがする
- 夜間や明け方に症状が出やすい
- 季節によって症状が変化する
などがあります。
喘息は子どもの病気と思われることがありますが、成人になってから発症することもあります。
咳や息切れを繰り返している場合には、喘息などの呼吸器疾患についても確認が必要です。
原因6|COPD(慢性閉塞性肺疾患)
長期間の喫煙歴がある方で、
- 歩いたり階段を上ったりすると息切れする
- 咳が続く
- 痰が出る
といった症状がある場合には、COPD(慢性閉塞性肺疾患)も考えます。
COPDでは少しずつ症状が進むことがあるため、
「年を取ったから体力が落ちただけ」
と思われていることもあります。
長期間の喫煙歴があり、以前より運動時の息切れが強くなっている場合には、一度相談しましょう。
原因7|発熱・脱水
感染症などで発熱すると、体温の上昇に伴って心拍数が増え、動悸を感じることがあります。
また、
- 発熱
- 大量の発汗
- 下痢
- 嘔吐
- 食事や水分摂取の低下
などによって脱水になると、血液循環を保つために心拍数が増え、動悸やふらつきが起こることがあります。
特に暑い時期や高齢者では注意が必要です。
原因8|ストレス・緊張・睡眠不足
心臓や肺に大きな異常がなくても、
- 強いストレス
- 緊張
- 不安
- 睡眠不足
- 過労
などによって動悸や息苦しさが起こることがあります。
ただし、ここで重要なのは、症状を最初から「ストレスのせい」と決めつけないことです。
動悸や息切れを繰り返している場合には、まず心臓病、貧血、甲状腺疾患など身体的な原因がないかを確認したうえで考えることが大切です。
原因9|カフェイン・アルコール・薬剤など
コーヒーやエナジードリンクなどに含まれるカフェインを多く摂取した後に、動悸を感じる方もいます。
飲酒をきっかけに動悸や不整脈が起こる場合もあります。
また、一部の薬によって心拍数が増えたり、動悸を感じたりすることもあります。
受診するときには、
処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含めて現在使用しているものを医師へ伝える
ことが大切です。
動悸・息切れの診察では「起こり方」が重要です
動悸や息切れの原因を考えるうえでは、症状そのものだけでなく、どのように症状が始まり、どのような状況で起こったのかが重要です。
診察では、特に次のような点が原因を絞り込む手がかりになります。
1.突然始まったか、徐々に始まったか
突然始まって突然止まる動悸では、発作性の不整脈などを考える手がかりになります。
一方で、発熱や運動などに伴って徐々に脈が速くなった場合には、正常な身体反応である可能性もあります。
2.安静時か、運動時か
「じっとしていても急にドキドキする」のか、「歩いたり階段を上ったりすると息切れする」のかによって、考える原因は異なります。
3.どのくらい続くか
数秒なのか、数分なのか、数時間続くのかも重要な情報です。
4.脈は規則的か、不規則か
「非常に速いけれど規則正しい」場合と、「バラバラに打っている」場合でも、考えられる不整脈が異なります。
5.ほかの症状を伴うか
胸痛、めまい、失神、咳、発熱、むくみなどの有無も重要です。
「動悸があります」だけでなく、このような情報を組み合わせることで、原因をより絞り込みやすくなります。
動悸と息切れが同時にある場合は何が考えられる?
動悸と息切れが同時に起こる場合には、
- 不整脈
- 心不全
- 貧血
- 甲状腺機能亢進症
- 呼吸器疾患
などを考えます。
例えば不整脈によって心拍数が極端に速くなると、心臓が効率よく血液を送り出せなくなり、動悸とともに息切れを感じることがあります。
一方、貧血では身体へ運べる酸素が少なくなるため、それを補うように心拍数が増え、動悸と息切れが同時に起こることがあります。
したがって、「動悸+息切れ=心臓病」とは限りません。
原因を判断するためには、症状の経過、診察、心電図、血液検査などを組み合わせて評価することが大切です。
動悸・息切れではどのような検査をする?
症状や診察所見によって必要な検査は異なりますが、代表的な検査には次のようなものがあります。
心電図検査
不整脈や心臓への負担などを確認する基本的な検査です。
ただし、発作性の不整脈の場合には、受診時には症状が治まっており、通常の心電図では異常が確認できないこともあります。
その場合には、症状の頻度などに応じて長時間心電図(ホルター心電図など)による評価が検討されます。
血液検査
血液検査では症状に応じて、
- 貧血
- 甲状腺機能
- 電解質
- 腎機能
- 炎症反応
などを調べます。
必要に応じて、心臓への負担を評価する検査を追加する場合もあります。
胸部X線検査
肺の状態や心臓の大きさなどを確認します。
心不全、肺炎、その他の呼吸器疾患などが疑われる場合に行われることがあります。
心エコー検査
心臓の収縮する力や大きさ、心臓弁の状態などを調べる検査です。
心不全や心臓弁膜症などが疑われる場合には、循環器内科などで詳しく評価します。
呼吸機能検査
喘息やCOPDなどが疑われる場合には、肺から空気を吐き出す力などを調べる呼吸機能検査を行うことがあります。
スマートウォッチの記録は診察に役立つ?
スマートウォッチや家庭用血圧計などで症状が出たときの心拍数を確認できた場合には、診察の参考になることがあります。
例えば、
- 症状が出た時刻
- 心拍数
- 何分程度続いたか
- 脈が規則的だったか、不規則だったか
などを記録しておくとよいでしょう。
心電図記録機能のある機器で記録が残っていれば、受診時に見せてください。
ただし、スマートウォッチだけで病気を確定したり、病気がないと判断したりすることはできません。
症状が続く場合や異常な記録を繰り返す場合には、医療機関で確認しましょう。
動悸・息切れで早めに受診した方がよいのはどんなとき?
次のような場合には、一度医療機関で原因を確認することをおすすめします。
- 動悸を何度も繰り返す
- 動悸の回数が増えている
- 安静にしていても動悸が起こる
- 脈が明らかに速い、または不規則に感じる
- 少し歩くだけでも息切れするようになった
- 以前より階段や坂道がつらくなった
- 息切れが徐々に悪化している
- 動悸とともにめまいやふらつきがある
- 足のむくみがある
- 疲れやすさやだるさが続いている
- 健診で貧血などを指摘されている
特に重要なのが、「以前と比べてどう変わったか」です。
年齢や運動不足でも体力は変化しますが、病気によって運動能力が低下していることもあります。
「前は普通にできていたことが、最近つらくなった」という場合には、一度相談しましょう。
すぐに受診した方がよい危険な症状
動悸や息切れの中には、緊急性の高い病気によって起こるものもあります。
特に、
- 突然、強い息苦しさが出た
- 安静にしていても呼吸が苦しい
- 強い胸痛や胸の圧迫感がある
- 意識を失った、または失いそうになった
- 冷や汗を伴う
- 顔色が明らかに悪い
- 唇が紫色になっている
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 激しい動悸とともに強いめまいや息苦しさがある
といった場合には、速やかな受診が必要です。
急性心筋梗塞、重篤な不整脈、急性心不全、肺血栓塞栓症など、早急な対応が必要な病気が隠れている可能性があります。
症状が強い場合には、自分で車を運転して受診するのではなく、必要に応じて救急車を要請してください。
動悸・息切れは何科を受診すればよい?
原因が分からない場合には、まず内科で相談して問題ありません。
動悸・息切れには、
- 心臓
- 肺
- 貧血
- 甲状腺
- 感染症
- 脱水
- 薬剤
など多くの原因があるため、最初から患者さん自身で診療科を決めることが難しい場合があります。
まず問診や診察を行い、必要に応じて心電図や血液検査などで原因を絞り込みます。
そのうえで、
- 循環器内科
- 呼吸器内科
- 内分泌内科
などで、より詳しい検査や治療が必要と判断されれば専門診療につなげます。
「心臓なのか肺なのか分からない」
「動悸と息切れの両方がある」
「何科を受診すればよいか分からない」
という段階でも、まず内科へ相談して構いません。
受診前にメモしておくとよいこと
動悸は、医療機関へ到着したときには治まっていることも少なくありません。
そのため、症状が起こったときに次の情報を記録しておくと診察に役立ちます。
- いつ症状が起きたか
- 何をしているときに起きたか
- 突然始まったか、徐々に始まったか
- 何秒・何分・何時間続いたか
- 何回くらい繰り返しているか
- 心拍数はどの程度だったか
- 脈は規則的だったか、不規則だったか
- 胸痛、めまい、失神を伴ったか
- 咳、痰、発熱などがあったか
- 足のむくみがあるか
すべてを正確に覚えておく必要はありません。
分かる範囲で記録しておくだけでも、診断の手がかりになります。
「年齢のせい」「運動不足のせい」と決めつけないことが大切です
動悸や息切れは、健康な方にも起こる身近な症状です。
そのため、
「最近忙しいから」
「運動不足だから」
「年齢のせいだろう」
と考えて様子を見てしまうことがあります。
実際に疲労、ストレス、体力低下などが原因の場合もあります。
しかし、症状だけで原因を判断することはできません。
特に注目してほしいのは、
「以前は大丈夫だったことが、最近できなくなっている」
という変化です。
歩ける距離が短くなった、階段で休むようになった、動悸を繰り返すようになったなど、以前との違いを感じる場合には一度原因を確認しましょう。
よくある質問
Q.動悸があると不整脈ということですか?
いいえ。動悸があるからといって、必ず不整脈があるとは限りません。
運動、緊張、発熱、貧血、甲状腺機能亢進症、カフェインなどによって正常な心拍が速くなった場合にも動悸を感じます。
一方で不整脈が隠れている場合もあるため、繰り返す場合には心電図などで確認することが大切です。
Q.動悸と息切れが一緒にある場合、心臓病でしょうか?
心臓病の可能性はありますが、それだけではありません。
不整脈や心不全のほか、貧血、甲状腺疾患、呼吸器疾患などでも動悸と息切れが同時に起こることがあります。
症状だけで判断せず、必要に応じて検査を受けましょう。
Q.階段で息切れするのは年齢のせいでしょうか?
年齢や運動不足によって息切れしやすくなることはあります。
ただし、「以前は問題なく上れていた階段で最近息切れするようになった」といった変化がある場合には、心不全、貧血、呼吸器疾患などが隠れていないか確認することをおすすめします。
Q.動悸が病院に着いたときには治っていても受診してよいですか?
はい。受診して構いません。
発作性の不整脈では、受診時には心拍が正常に戻っていることもあります。
いつ、どのように始まり、何分くらい続いたのか、症状が出たときの心拍数などが分かれば診断の参考になります。必要に応じて長時間心電図などを検討します。
Q.動悸・息切れは内科で診てもらえますか?
はい。
原因が分からない場合には、まず内科で相談して問題ありません。
問診、診察、心電図、血液検査などを行い、必要に応じて循環器内科や呼吸器内科などでさらに詳しい評価を行います。
Q.動悸や息切れはストレスでも起こりますか?
ストレスや緊張、不安、睡眠不足などによって起こることはあります。
ただし、心臓病、貧血、甲状腺疾患などでも似た症状が起こるため、繰り返す症状を最初からストレスだけが原因と判断しないことが大切です。
まとめ|繰り返す動悸・以前より悪化した息切れは一度相談を
動悸や息切れの原因は一つではありません。
主な原因として、
- 不整脈
- 心不全・心臓弁膜症など
- 貧血
- 甲状腺機能亢進症
- 気管支喘息
- COPD
- 発熱・脱水
- ストレスや睡眠不足
- カフェイン、アルコール、薬剤など
が考えられます。
動悸があるから心臓病、息切れがあるから肺の病気、と単純に判断することはできません。
特に、
「繰り返すようになった」
「回数が増えている」
「以前はできていたことが息切れでつらくなった」
という変化がある場合には、一度原因を確認することをおすすめします。
一方、強い胸痛、突然の激しい呼吸困難、失神などを伴う場合には緊急性の高い病気の可能性があります。症状が強い場合には、速やかに医療機関を受診してください。
「この程度で受診してもいいのかな」
「心臓なのか、それ以外なのか分からない」
「何科に行けばよいのか分からない」
という段階でも構いません。
動悸や息切れが気になる場合には、症状を放置せず、まず内科で相談しましょう。