2026年7月08日

睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まったり、呼吸が浅くなったりする状態を繰り返す病気です。
多くの場合、空気の通り道である上気道が狭くなることで起こります。眠っている間にのどの空間が狭くなると、空気が通りにくくなり、いびきや無呼吸が起こります。
睡眠中の出来事なので、本人は気づいていないことも少なくありません。ご家族から「いびきが大きい」「寝ている間に呼吸が止まっている」と指摘されて、初めて気づく方もいます。
睡眠時無呼吸症候群でよくみられる症状
睡眠時無呼吸症候群では、次のような症状がみられることがあります。
- 大きないびき
- 睡眠中に呼吸が止まる
- 夜中に何度も目が覚める
- 夜間に何度もトイレに起きる
- 朝起きた時に頭が痛い
- 寝ても疲れが取れない
- 日中に強い眠気がある
- 集中力が続かない
- 運転中や会議中に眠くなる
いびきだけでなく、夜間頻尿、起床時の頭痛、日中の眠気も睡眠時無呼吸症候群でみられる症状です。
特に日中の眠気は、仕事の効率低下だけでなく、居眠り運転や労働災害につながることがあります。「寝不足のせい」「年齢のせい」と思っていても、実は睡眠中の呼吸障害が原因になっていることがあります。
肥満だけが原因ではありません
睡眠時無呼吸症候群は、肥満の方に多い病気です。首まわりに脂肪がつくと、睡眠中に気道が狭くなりやすくなるためです。
ただし、肥満だけが原因ではありません。
- あごが小さい
- あごが後ろに下がっている
- 扁桃が大きい
- 舌が大きい
- 鼻炎や鼻中隔弯曲などで鼻づまりがある
- 飲酒習慣がある
- 睡眠薬の使用
- 加齢による筋肉のゆるみ
このような要素も関係します。日本人では、肥満が目立たなくても、あごや顔の骨格、のどの構造によって睡眠時無呼吸症候群を起こすことがあります。
放置しない方がよい理由
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、睡眠の質が低下するだけでなく、全身に影響することがあります。
睡眠中に無呼吸や低呼吸を繰り返すと、体の酸素が下がり、交感神経が刺激されます。その結果、血圧が上がりやすくなったり、心臓や血管に負担がかかったりします。
睡眠呼吸障害は、さまざまな循環器疾患に合併し、循環器疾患の悪化や発症に関与する可能性があると考えられています。
特に、以下のような病気がある方は注意が必要です。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 心房細動
- 心不全
- 狭心症・心筋梗塞
- 脳卒中
- 慢性腎臓病
「血圧の薬を飲んでいるのに下がりにくい」「夜間や早朝の血圧が高い」「生活習慣病があるうえに、いびきや眠気もある」という方は、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することが大切です。
検査では何を調べるのか
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、睡眠中の呼吸状態を調べる検査を行います。
検査では、主に以下のような項目を確認します。
- 無呼吸や低呼吸の回数
- 血液中の酸素の低下
- いびき
- 呼吸の乱れ
- 脈拍の変化
- 睡眠中の体の状態
重症度を判断する代表的な指標が、AHIです。AHIは、睡眠1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起きているかを示します。
一般的には、AHI 5以上で症状を伴う場合に睡眠時無呼吸症候群と診断され、AHI 5〜15が軽症、15〜30が中等症、30以上が重症とされます。
検査結果だけでなく、日中の眠気、生活習慣病の有無、心血管疾患のリスク、仕事や運転への影響なども含めて、治療方針を考えます。
治療方法
睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度や原因、症状、合併症によって異なります。
生活習慣の見直し
肥満がある場合は、減量によって無呼吸が軽くなることがあります。食事、運動、飲酒、睡眠姿勢などを見直すことも大切です。
特に、寝る前の飲酒は、のどの筋肉をゆるめ、いびきや無呼吸を悪化させることがあります。飲酒量が多い方は、まず夜の飲酒を見直すことが重要です。
マウスピース治療
軽症から中等症の一部では、下あごを前方に出すマウスピースを使用することがあります。歯科で作成する装置で、気道を広げることを目的とします。
ただし、すべての方に適しているわけではありません。歯や顎関節の状態、無呼吸の重症度、原因によって向き不向きがあります。
CPAP治療
中等症以上、または症状や合併症の状況によっては、CPAP治療を行います。
CPAPは、鼻や口に装着したマスクから空気を送り、睡眠中に気道が狭くなるのを防ぐ治療です。睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法であり、特に中等症から重症の方でよく用いられます。
CPAPは「装置をつけるだけ」の治療ではありません。使用時間、マスクのフィット感、空気漏れ、鼻づまり、口の渇き、残っている無呼吸の程度などを確認しながら、継続しやすい形に調整していくことが大切です。
CPAP治療を続けるために大切なこと
CPAP治療は、続けて使うことで効果が期待できる治療です。
最初は、マスクの違和感や圧の不快感が気になる方もいます。しかし、マスクの種類を調整したり、加湿を使ったり、鼻づまりを治療したりすることで、続けやすくなることがあります。
CPAP治療で大切なのは、以下の点です。
- 毎晩できるだけ使う
- 使用時間を確認する
- マスクの空気漏れを調整する
- 鼻づまりや口の渇きを相談する
- 眠気やだるさが改善しているか確認する
- 検査データをもとに治療効果を確認する
CPAPは導入して終わりではなく、継続管理が重要です。2026年度診療報酬改定でも、使用時間や無呼吸低呼吸指数などをモニタリングし、適切に管理する体制が評価される方向になっています。
受診を検討した方がよい方
次のような方は、一度医療機関で相談することをおすすめします。
- 家族からいびきや無呼吸を指摘された
- 日中の眠気が強い
- 運転中に眠くなる
- 朝起きた時に頭痛がある
- 夜間頻尿がある
- 高血圧がある
- 糖尿病、脂質異常症、肥満がある
- 心房細動、心不全、脳卒中などの既往がある
- 健康診断や職場で睡眠時無呼吸症候群を疑われた
睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状だけでは判断しにくい病気です。気になる症状がある場合は、検査で確認することが大切です。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。
大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の眠気、朝の頭痛、夜間頻尿などがある方は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
放置すると、日中の生活の質だけでなく、高血圧や心血管疾患などに関係することがあります。検査によって重症度を確認し、必要に応じて生活習慣の見直し、マウスピース、CPAP治療などを検討します。
いびきや日中の眠気が気になる方は、「よくあること」と片づけず、一度ご相談ください。