2026年10月05日

「熱が出たけれど、病院を受診した方がよい?」
「咳とのどの痛みがあるけれど、ただの風邪?」
「熱はないけれど、咳が出ている場合も受診してよい?」
「発熱外来を受診するときは、どうすればよい?」
発熱、咳、のどの痛みは、風邪をはじめとする呼吸器感染症でよくみられる症状です。
原因としては、一般的な風邪だけでなく、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、気管支炎、扁桃炎、肺炎など、さまざまな病気が考えられます。
症状だけで原因を正確に見分けることは難しく、「熱が高いかどうか」だけで病気の重症度を判断することもできません。
大切なのは、体温だけではなく、息苦しさや全身状態、症状の経過、年齢、基礎疾患などを含めて判断することです。
この記事では、発熱・咳・のどの痛みがあるときに考えられる主な原因、自宅で様子をみてもよい場合、医療機関を受診した方がよい症状、受診前に確認しておきたいことについてわかりやすく解説します。
発熱・咳・のどの痛みは「急性呼吸器感染症」でよくみられる症状です
発熱、咳、のどの痛み、鼻水などを急に認めた場合、まず考えられるのが呼吸器の感染症です。
厚生労働省では、咳、咽頭痛、呼吸困難、鼻水、鼻づまりなどの急性症状を呈する感染症を「急性呼吸器感染症(ARI)」として幅広く捉えています。
急性呼吸器感染症には、いわゆる風邪だけでなく、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、さまざまな感染症が含まれます。
症状だけから原因となる病原体を特定することは難しいため、流行状況や症状の経過、周囲の感染状況なども確認しながら判断します。
発熱・咳・のどの痛みで考えられる主な病気
1.風邪(かぜ症候群)
発熱、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳などの原因として最も一般的なのが風邪です。
多くはウイルス感染によって起こり、
- 鼻水が出る
- のどが痛い
- 咳が出る
- 微熱がある
- 体がだるい
など、複数の症状が同時にみられることがあります。
多くの場合は自然に改善していきますが、症状が長引く場合や、一度改善したあとに再び悪化する場合には、別の病気が隠れていないか確認する必要があります。
2.インフルエンザ
インフルエンザでは、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感などの全身症状に加えて、咳やのどの痛み、鼻水などがみられます。
一般的な風邪と比較して、急に発熱して強い倦怠感や関節痛などが現れることがあります。
ただし、すべての方が典型的な高熱になるわけではありません。
周囲でインフルエンザが流行している場合や、家族・学校・職場などに感染した方がいる場合には、診断を考えるうえで重要な情報になります。
3.新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症でも、
- 発熱
- 咳
- のどの痛み
- 鼻水、鼻づまり
- 頭痛
- 倦怠感
など、風邪やインフルエンザとよく似た症状がみられます。
症状だけで風邪やインフルエンザと区別することは困難です。
軽症で自然に改善する方も多い一方、高齢者や基礎疾患のある方などでは重症化することがあるため注意が必要です。
4.急性気管支炎
風邪などの感染症をきっかけとして、気管支に炎症が起こった状態です。
最初は発熱やのどの痛み、鼻水などがあり、その後、咳や痰が目立つようになることがあります。
熱や鼻水が改善したあとも、気道の炎症が残って咳だけが続くこともあります。
5.扁桃炎・咽頭炎
のどの炎症が強い場合には、ウイルス性または細菌性の咽頭炎・扁桃炎などが考えられます。
- 唾を飲み込むとのどが強く痛む
- 食事や水分が取りにくい
- 扁桃が腫れている
- 首のリンパ節が腫れている
- 発熱を伴う
といった症状がみられることがあります。
原因によって治療方法が異なるため、症状が強い場合には診察を受けることが大切です。
6.肺炎
発熱や咳だけではなく、
- 息苦しい
- 息切れがする
- 胸が痛い
- 痰が増えた
- 強い倦怠感がある
- 一度よくなったあとに再び悪化した
といった場合には肺炎にも注意が必要です。
特に高齢者では、高熱が出ないまま肺炎が進行することもあります。
「何度以上の発熱なら受診する?」体温だけでは決められません
「38℃を超えたら病院に行った方がよいですか?」
という質問はよくあります。
しかし、受診の必要性を体温だけで判断することはできません。
たとえば39℃の発熱があっても、水分を十分に摂ることができ、呼吸状態や全身状態が比較的良好な場合があります。
反対に、37℃台でも、
- 呼吸が苦しい
- 胸が痛い
- 水分がほとんど摂れない
- 意識がぼんやりしている
- ぐったりしている
などの症状があれば、早めの対応が必要です。
「何度までなら大丈夫」という数字だけで判断せず、体温と全身状態の両方を見ることが重要です。
発熱がなくても咳やのどの痛みがあれば受診してよい?
もちろん受診して構いません。
呼吸器感染症では、必ず発熱するわけではありません。
「熱がないから感染症ではない」
「熱がないから受診する必要はない」
とは限りません。
特に、
- 咳がひどくて眠れない
- のどが痛くて食事や水分が取りにくい
- 症状が徐々に悪化している
- 一度改善したあとに再び悪化した
- 息苦しさや胸痛を伴う
といった場合には、発熱の有無にかかわらず医療機関への相談を検討しましょう。
自宅で様子をみることができる場合
症状が軽く、
- 食事や水分が摂れている
- 呼吸が苦しくない
- 日常生活がある程度できる
- 症状が徐々に改善している
という場合には、必ずしもすぐに医療機関を受診する必要がないこともあります。
十分な睡眠と休養をとり、脱水にならないよう水分を補給しながら経過をみます。
ただし、最初は軽い症状でも、その後悪化することがあります。
「昨日より明らかに悪くなっている」と感じる場合には、受診を検討してください。
こんなときは医療機関を受診しましょう
次のような場合には、医療機関への相談・受診を検討してください。
- 発熱が数日続いている
- 咳やのどの痛みが強い
- 症状がなかなか改善しない
- 一度よくなったあとに再び発熱した
- 咳や痰が徐々に悪化している
- 食事や水分が十分に摂れない
- 嘔吐や下痢が続いている
- 強い倦怠感がある
- インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の患者との接触がある
- 学校、職場、家庭などで感染症が流行している
特に、高齢者、乳幼児、妊娠中の方、心臓や肺などの基礎疾患がある方、免疫機能が低下している方などは、感染症が重症化するリスクが高くなる場合があります。
症状が比較的軽くても、早めに医療機関へ相談することを検討しましょう。
こんな症状がある場合は緊急性があります
次のような症状がある場合には、通常の外来受診を待たず、救急受診を含めて速やかな対応が必要です。
- 強い息苦しさがある
- 急に呼吸が苦しくなった
- 胸の強い痛みがある
- 顔色が明らかに悪い
- 意識がもうろうとしている、反応がおかしい
- けいれんしている
- 立っていられないほど状態が悪い
症状が非常に強く緊急性が高い場合には、救急車の要請も検討してください。
発熱・咳・のどの痛みで受診すると、どのようなことを確認する?
診察では、「熱がある」という情報だけでなく、症状がどのように始まり、どのように変化しているかが重要です。
たとえば、
- いつから症状が始まったか
- 最初に現れた症状は何か
- 最高体温は何度だったか
- 咳や痰があるか
- のどの痛みはどの程度か
- 鼻水や鼻づまりがあるか
- 息苦しさや胸痛がないか
- 食事や水分を摂れているか
- 周囲に同じ症状の人がいるか
- インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の患者との接触がないか
- どのような薬を使用したか
などを確認します。
これらの情報から、必要な診察や検査を判断していきます。
来院前に確認しておくとよいこと
発熱や咳などの症状で医療機関を受診するときには、次の情報をあらかじめ確認しておくと診察がスムーズになります。
1.症状が始まった日時
「いつから具合が悪いか」は非常に重要です。
「3日前から」だけでなく、
「一昨日の夜からのどが痛くなり、昨日の朝から発熱した」
というように、症状の順番が分かると診断の参考になります。
2.体温の経過
受診直前の体温だけでなく、
- いつから熱が出たか
- 最高で何度だったか
- 熱が上がったり下がったりしているか
などを確認しておきましょう。
スマートフォンに記録しておくのもよい方法です。
3.発熱以外の症状
咳、痰、鼻水、のどの痛み、頭痛、関節痛、吐き気、下痢、息苦しさなど、発熱以外の症状も診断の重要な手がかりになります。
4.周囲の感染状況
家族、学校、保育園、職場などで、
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症
- その他の感染症
が流行していないか確認しておくと参考になります。
5.使用した薬
市販の風邪薬や解熱鎮痛薬を使用している場合には、
- 薬の名前
- 服用した時間
- 服用した量
が分かるようにしておきましょう。
薬そのものや、お薬手帳を持参していただいても構いません。
発症直後の検査では陰性になることもあります
「検査をすれば、すぐに原因が分かる」と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の抗原検査は、感染していても発症からの時間やウイルス量などによって陰性になることがあります。
そのため、
「検査が陰性だった=その感染症を完全に否定できる」
とは限りません。
症状が始まった時期、周囲の流行状況、診察所見などを含めて総合的に判断することが大切です。
風邪に抗菌薬(抗生物質)は必要?
一般的な風邪の多くはウイルス感染によって起こります。
抗菌薬は細菌に対して作用する薬であり、ウイルスによる一般的な風邪には効果がありません。
そのため、発熱やのどの痛みがあるからといって、必ず抗菌薬が必要になるわけではありません。
一方で、細菌性の扁桃炎や肺炎などが疑われる場合には、抗菌薬が必要になることがあります。
症状や診察所見、必要に応じた検査結果などから判断します。
発熱・咳・のどの痛みは何科を受診する?
成人で発熱、咳、のどの痛みなどの症状がある場合には、まず内科で相談することができます。
「風邪なのかインフルエンザなのか分からない」
「熱はないけれど咳とのどの痛みがある」
「何科に行けばよいのか分からない」
という段階でも問題ありません。
問診や診察を行い、必要に応じて感染症検査、血液検査、胸部X線検査などを検討します。
より専門的な検査や治療が必要と判断された場合には、適切な医療機関へつなげます。
発熱・咳・のどの痛みがある方へ|来院前にご確認ください
発熱や咳、のどの痛み、鼻水などの症状がある方は、他の患者さんへの感染を防ぐため、通常の診療とは異なる場所や方法でご案内することがあります。
知立ファミリークリニックでは、発熱のある方は来院前にWeb予約またはお電話でご予約ください。
ご来院後は、クリニック裏手のインターフォンでお知らせください。
スタッフが確認したうえで、お車または院内の診察室などへご案内します。
来院時には、
- マイナ保険証または資格確認書
- 診察券
- お薬手帳
などをご準備ください。
Web予約・Web問診をあらかじめご利用いただくことで、来院後の確認をスムーズに進めることができます。
※発熱外来の運用方法は変更となる場合があります。受診前にホームページの最新情報をご確認ください。
まとめ|発熱・咳・のどの痛みは「熱の高さ」だけで判断しないことが大切です
発熱、咳、のどの痛みは、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、気管支炎、扁桃炎、肺炎など、さまざまな病気でみられます。
症状だけで原因を判断することは難しく、受診が必要かどうかも「何度の熱があるか」だけでは決まりません。
息苦しさがないか、水分を摂れているか、症状が改善しているか悪化しているか、基礎疾患がないかなど、全身の状態を含めて判断することが重要です。
症状が軽く徐々に改善している場合には、自宅で休養しながら経過をみることができる場合もあります。
一方、
- 発熱が続いている
- 咳やのどの痛みが強い
- 症状が悪化している
- 一度よくなったあとに再び悪化した
- 息苦しさや胸痛がある
- 水分を十分に摂れない
といった場合には、無理をせず医療機関へ相談しましょう。
また、発熱や咳などの感染症が疑われる症状がある場合には、医療機関によって受診方法が異なることがあります。
来院前に受診方法を確認しておくと、よりスムーズに診療を受けることができます。